お守り
訪問看護を始めてから出会った利用者さんの中に、私の看護観を覆された利用者さんがいました。
20代の女性でした。
境界性パーソナリティ障害の女性でした。
とってもとっても大変でした。
一回の訪問に、数時間かかりました。
正直、行くのが辛くていつも訪問前日と当日は憂鬱でした。
だけど、その女性のおかげでたくさん勉強しました。
人格障害のことをたくさんたくさん勉強しました。
だんだん私に心を許してくれるようになり、いつもきつい顔の彼女は、よく笑ってくれるようになり、その笑顔はとても可愛らしく、
私はまた笑わせたいなって思うようになりました。
境界性パーソナリティ障害は根気よく付き合って行く、それが回復のポイントで、もっと彼女と付き合ってもっともっと向き合おうと思った矢先。
その彼女は、自らの意思で自らの手で亡くなりました。
その彼女が生前、私にくれたお守り。
音楽が好きで、ギターが上手だった彼女のピック。
もらってからずっと、名札のポケットに入れています。
今月からは新しい名札のポケットに。
私のお守りです。