こころみBlog

メンタルケア専門の訪問看護師のBlogです。

統合失調症の症状 連合弛緩について正しい知識が見方を変える

連合弛緩

 

連合弛緩は、統合失調症の方によく見られる症状です。

そもそも統合失調症とは、自分の考えを「統合」まとめあげることが困難になる。そのため周りからみたら理解できない言動になってしまうのです。

 

 

と、ちょっと硬い話になりましたので、事例を交えてお話します^_^

 

でも、これが分かると、統合失調症の患者さんがどんな状態(症状)にあるのか、理解できるようになり向き合えるきっかけになると思います。

 

事例

50代女性 統合失調症

元来おとなしい性格で、感情を表出しないため状況がわかりづらいものの症状は落ち着いている。時々幻覚・幻聴が出現している。

訪問では体調のチェックの他にグラウディングとしてアロママッサージや手浴足浴など刺激を与えるような援助で現実にアクセスすることに努めている。

家庭での介護者は夫。とても献身的で理解されたご主人。

 

ある日の訪問、ご主人より

昨日からよくわからないことばっかり言うんですよ、ウロウロして落ち着かないし」

本人の元へ行くと、険しい顔でブツブツと話しています。囁く声を聞いてみると

「私一円玉が足りなかったから3つの袋におやつ入れたら添乗員が貰ってくれなくてハーモニーランドに行ったんです。」

といわれていました。

 

昨日からずっとこんな発言をしている妻にご主人はホトホト疲れておられ、

「何を言ってるんだ!ってさっきちょっと怒ってしまったんです…」

 

連合弛緩とは、

連合(つながり)が弛緩(ゆるむ)すなわち、論理的につながる思考がゆるんでしまうこと。

なので上記の発言のように、

話している内容が繋がらず一般的にみるとおかしな言動になってしまいます。

 

精神疾患のなかでも、統合失調症うつ病や不安障害とは違い、まだまだ理解してもらえなかったり誤解をされることが多いように思います。

それは、連合弛緩のように一般的には理解しがたい意味がわからない言動があるからでしょう。

 

しかし、どういうメカニズムでそういう言動になるのか、理解されたらもっと受け入れられたり誤解も解消するのではないかと思います。

 

では、上記の発言について紐解いてみると。。。

他人の私達からすると何のことだがさっぱりですが、

ご家族に発言を分解して聞いてみると、

 

ハーモニーランドは昔娘さんを連れて行った場所。

・添乗員というのはご主人が空港のお仕事をされていた関係の話。

・おやつはハーモニーランドに持って行ったもののことです。

 

など、過去の出来事。

 

その中でも失敗談が集まっている内容でした。

 

ご本人は、過去の失敗を幻聴で指摘され、それについて悔いて苦しんでいるようでした。

状況を整理した上で、さてどう対応すべきか。

 

対応方法

 

ご家族はわけのわからないことをずっと言い続ける状況に疲れ厳しい対応。

もちろんそうなる気持ちはわかります。

しかし、連合弛緩が出ている時というのは高いエネルギーを消費していておそらく幻聴や幻覚も出ている。なので、厳しい態度や邪険にする、冷たくすると症状悪化に繋がります。

「この人は敵だ」「悪の組織だ」などマイナスな印象だけが残り、症状が治まった時に不信感だけが残っていることがあります。

 

強い症状が出ている時こそ、邪険にせず話をしっかり聞き安心感を与えることが最善であり、その対応はその後の信頼関係につながります。

 

この状況では20分ほど話を聞き、

もちろん、連合弛緩時の話は長く聞いたとて解決にはならないのも現実です。

ある程度話を聞き、違う話に誘導して必要な内服や受診を進めることも大事な対処法です

 

このように、一見理解しがたい症状も実際を知ることで対応方法も変わり、そこで湧き出る感情も変わり、それが結果的に患者さんの症状改善につながります^^

 

太陽の塔、ここから見る、「見方」もいいものです^^

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